ズレていたっていい 〜中二インターン×千葉県船橋市立中学校 事前ワークショップ編〜

ある1通のメールをきっかけに、2021年1月13日より千葉県公立中学校と連携し、「思春期的な才能を発掘・助長する実験的プログラム」として始まった“中二インターン”。約100名の中学2年生と行った全日程の模様を、合計7回にわたってお届けします。

1日目は、中二インターンのテーマである“才能”や“個性”の種である「ズレ」について自分自身と向き合ってもらうために、事前ワークショップを行いました。

事前のアンケートでは、「“普通”について考えたり、悩んだ経験はありますか?」との質問に生徒の約65%が「はい」と回答する結果に。そんな彼らに「ズレていたっていい」というメッセージを伝えるべく、若新雄純さんとデジタルハリウッド大学の杉山知之学長がリモートで登壇し、中学生と対話しました。

中二病は才能?

まずは、若新さんから中二インターンの概要説明がありました。

若新:僕はもともと、寂しい思いをしている日本中の中二病の中学生を救いたいと思ってたんです。「私、中二病です」という中学生と企業の人が一緒に活動できることをしたいなと思って始めました。

僕自身、いまでも中二病なんです。「なんで、いつまでもちゃんとした大人になれないのかな」って昔は悩んでました。でも僕は、中高校生のころの、いろいろ悩んだりめんどくさいことを考えたりする時間がけっこう好きだったんですよね。だから、思春期のままでもいいんじゃないかと思っていたら、いろんな人たちから「それ中二病だね」って言われまして。それで「なるほど、僕は大人なのに中二病なのか!」と思って今日まで生きてきました。

中学生たちはやや目を丸くして驚きつつも、目は真剣です。

若新:そういう思春期ならではの特徴的な考えや人とのズレこそおもしろいと思っていて、その中に「才能」につながるものがあるんじゃないかと。大げさに言うと、中二病は才能に関係してるんじゃないかと思ったんですね。思春期だからこそ見つけることができるみんなの才能みたいなものを、この中二インターンで探していきたくて、いまみなさんと一緒に実験しているところです。

このインターンには、決められたゴールや正解はありません。あえて着地を設定せず、実験の先に何が生まれるのかを進める中で見出していくという新しい学びの場です。インターンを通して何を感じ、活かすかは中学生次第。そんなプログラムを公立中学校と行うという、前代未聞の取り組みが始まりました。

前半:ズレをシェアするワークショップ

続いて行ったのは「自分のズレをシェアするワークショップ」。まずは、「“実は自分はズレてるんじゃないか”と思うこと」というお題について、3分間で思いつく限りふせんに書き出していきます。

若新:やる前に大事なことをお伝えしておきます。このインターンでとにかく一番大事なのは「人と違っていい」ということ。「私、人と違うことを考えすぎなんじゃないの?」って思ってても、それでいいんですよっていう前提でやっていきたいんです。これを、部活とか普段の授業の中でやっちゃうとまずいかもしれませんね。でも中二インターンでは、人と違ってていいし、これからのプログラムで関わる企業の大人たち(の意見)と違うことを言ってもOKです。

いきなり書けって言われても難しいかもしれないけど、いままでは恥ずかしくて言えなかったこと、集団生活をしてると言えないことでも、実はこう思ってる、これをおもしろいと思ってるんだってことを、書いてみてください。

なかなかペンが進まない生徒もいれば、すぐに10個くらい書く生徒もいて、ワークとの向き合い方も多種多様です。

そのあと、書けた人から教室の壁に貼られた模造紙にふせんをペタペタと貼っていきます。みんなはクラスメイトが何を書いたのか、かなり気になる様子。教室内がどんどん騒がしくなります。

とはいえ、いまはコロナ禍の真っ只中。密にならないようコントロールするため先生方は一苦労ですが、生徒はとても楽しんでいるようでした。

後半:杉山知之学長×若新雄純トークセッション 〜ズレていることが価値になる〜

“ズレ”についてみんな一通り書き終わったところで、今度は登壇者2人によるトークセッション。初めに、デジタルハリウッド大学の杉山知之学長に、同大学ではどのように学生の個性や才能を育てているのか、お話を伺いました。

御茶ノ水にあるデジタルコミュニケーション領域を専門とする同大学は「みんなを生きるな。自分を生きよう。」を理念とし、デジタルコンテンツ(3DCG、ゲーム・プログラミング、映像、アニメ等)と企画・コミュニケーション(ビジネスプラン、マーケティング、広報PR等)の専門領域におけるクリエイティブ表現やIT技術、ビジネス手法を複合的に学ぶことができる大学です。なんと学生の1/3がクリエイター志望の海外留学生で、在籍者が約1400名という小規模ながら、大学発ベンチャーの数は、東大や京大、早慶大などにつづき全国で11位。杉山学長曰く、「自分がやりたいことを曲げないで、ビジネスにまでしちゃう大学です」。

デジタルハリウッド大学ではズレた人がどう活躍しているのかを教えていただいたところで、今度は先ほど書いた中学生の“ズレ”を、みんなでシェアしていきます。

「駅メロが好き」

「自分に自信がありすぎる」

「家族より大切な人がたくさんいる」

なかにはクラスの笑いをさそうものもあり、みんなそれぞれの違いを楽しんでいるようでした。若新さんが注目したのは、「笑うポイントや怒るポイントが違う」と書いた人が多い点。

若新:僕がなるほどなと思ったのは、同級生のみんなと同じところで笑わなきゃいけない、笑いのツボは人と一緒じゃなきゃいけないと思ってる中学生が多いのかなってこと。でも、人とは違うところにおもしろさを感じるのはセンスだし、自然なことだと思うんですよね。

杉山:好きな芸人と嫌いな芸人は人それぞれじゃないですか。それと同じことですよね。逆に、なんで自分だけおもしろいんだろうとか、なんで自分だけつまんないんだろうとかを追求したほうがいい。そこに自分を発見できるんじゃないですかね。

しかし、インターネットが登場する前の、高度経済成長期の大量生産・大量消費の時代には、みんなと違うことをすることで道から外れてしまうという怖さもありました。

「インターネットの登場前後で選択肢の数は変わったんですか?」という若新さんの問いかけに、杉山学長は、“インターネット登場後の世界に起こった大変なこと”について教えてくれました。

杉山:学校や周りの大人が絶対に反対するようなことがあるとするじゃないですか。でも、インターネットの世界では、「いいじゃん」と言ってくれる人が少なくとも100万人はいるんですよ。じゃあその100万人の人から、月に10円ずつもらったらどうなるのって、よく言うんです。月に1000万円も入ってくるんですよ。そういうふうに生きられたりするんですよ、本当に。

若新:なるほど。「ズレていてもいい」っていうことをなぜみんなに感じてほしいかというと、「ごく一部の人だけど、それを待っている人がいる」というものを仕事にできる人が、これからは生き残れるんだろうなと思うんですよね。周りの全員に喜ばれることをするのは、なかなか難しいんです。そういうことは、僕らのお父さん世代がやり尽くしちゃったんですよね。

「中学校は、身につけておいたほうがいいことをみんなで同じように学ぶ場であり、それはそれで必要なこと。けれども、必ずしもみんなが同じである必要はない」というお二人からのメッセージを受け、今後の各社のインターンに中学生たちがどう反応するのかワクワクします。

そしてトークセッションは、杉山学長からの言葉で締めくくられました。

杉山:いまはみんな14年しか生きてないから、自信はまだないかもしれないけど、人生はこれからすべてが始まる。“自信がない”を、“自分を信じない”と一緒にはしないでほしい。

10年ごと、20年ごとに、やることをすべて変えても大丈夫。人生4回や5回はやり直せるからこそ、いまやりたいことをやってほしいですね。

次は2日目。インターネットテレビ「ABEMA」を運営するAbemaTVによるインターンです。「中二が中二の“本音”を取材」と題して、中学生が心に秘めている“本音”を、クラスメイト同士で取材します。

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