中二が中二の“本音”を取材 〜中二インターン×千葉県船橋市立中学校 ABEMA編〜
2日目は、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA(アベマ)」による取材体験プログラム。登壇してくださったのは、「ABEMA NEWSチャンネル」で平日夜9時から配信されているニュース番組『ABEMA Prime』ディレクターの岩崎さん。同番組でコメンテーターを務める若新さんも参加しました。
今回のテーマは「本音と建前について」。「友達に嫌われたくない」「先生に怒られたくない」「場の空気を壊したくない」などから、建前で話すことが増えてくる思春期。そこで当日は、中学生が取材記者となって、学校や大人の前では言えないようなクラスメイトの本音を取材・撮影しました。
前半:本音を言ったほうがいい理由
冒頭、岩崎さんと若新さんの中学生時代の話から。岩崎さんは昔、まさに“本音をぶつけずにはいられない中学生”だったと言います。きれいごと事に対して「実際の社会ではそんなうまくいかないんでしょ?」と、心の内側から湧いてくる疑問を呈して、先生やクラスメイトと議論することが好きだったそうです。
若新:でも普通は、中学生のころって本音と建前にすごく悩むよね。部活の先輩に気に入られるかどうか気にしたりね。小学生のときは上級生の友達と「〇〇ちゃん」「△△くん」とか言って仲良くドッジボールしてたはずなのに、中学に入ったとたんにタメ口がきけなくなるみたいなことあったよね。
たしかに、中学生になって急に上下関係を意識しはじめたときの違和感を覚えている大人は多いはず。
そんな「中学校での本音と建前」という話題は、「社会での本音と建前」に発展していきます。
若新:最近はテレビ番組でも、他人を傷つけるからという理由で、本音ではなく建前でしゃべってる人が増えたように感じますね。
これに対し、「“社会に蔓延している建前”についてつっこんだ」という過去のABEMA番組企画を岩崎さんにご紹介いただきました。
(C)AbemaTV,Inc.
この企画は、コロナ禍によりマスク転売が相次いだ去年3月、「転売=悪」というイメージが蔓延する中で「転売って本当に悪いことなのかな?」という岩崎さん自身の疑問から生まれたものでした。
たしかに、そもそも商売は「安く仕入れて高く売る」のが基本。番組は、マスク転売を繰り返すいわゆる「転売ヤー」と呼ばれる男性と、店の売れ残りを買取り、ネットで適正価格で再販する「せどり」という職業で生計を立てている男性を取材し、転売の問題点を議論するという内容でした。
マスクを買えずに困っている人の気持ちを考えると「転売って、そんなにダメなこと?」「法律違反じゃないよね」と考える人がいても不思議ではありませんが、「転売ってダメなの?」と人前で堂々と言うのはためらってしまいます。
しかし岩崎さんは、“そうした本音を一度話してみることで、話し合うきっかけを作り、問題を探る糸口になる”と言います。
岩崎:転売の話は、肯定するようなことは言えない空気感があるけど、そこにつっこむことで、マスク転売の何が問題だったのかを深掘りするきっかけになる。本音を言うからこそ、話し合うきっかけが生まれたり、課題が見つかったりすると思っています。
若新:転売は全然悪くない、良いことなんだと伝えたいわけではないんですよね。何が言いたいかっていうと、いろんな意見があるけど、世の中的には「悪いに決まってるじゃん」という風潮が強いがゆえに、転売は良くないという建前を言わざるを得ない状況だった。でも、転売が悪とは限らないんじゃない? と本音を言ってみると、転売の何がどう問題だったのかが分かるっていうことですよね。
岩崎:ただし、本音を言って誰かを傷つけてもいいということではないです。例えば「この人嫌いだな」と思ったら、この人のことが嫌いな理由について見直し、相手がなぜそういう態度を取るのかを考える。本音を言うことは、なんでもぶつけることではなく、考え直したり、何が問題なのかを探る機会を作ることなんですよね。
「ルールや常識だからといって本音を言わずにいると、おかしくなっていることに気づけない。だから自分の本音を大事にしよう。」という、岩崎さんからの説得力のあるメッセージで、前半が終わりました。
後半:中二が中二の“本音”を取材
後半は、いよいよ中学生同士で取材をします。「相手に本音を話してほしいなら、まず自分から本音を言おう」「相手の意見が自分と違ったら、そこがズレを認識するチャンス! 深掘りしてみよう」など、本音を聞くコツについて説明があったあと、生徒たちは次の3つのテーマに沿って取材しました。
● 日常の本音
● 学校・大人・社会への本音
● テレビへの本音
3人1組のグループごとに、廊下やほかの教室に散らばってスタートです。何を言おうかなかなか決められず悩んでいる生徒もいれば、大きな声で自分の主張をうったえる生徒もいて、さまざまです。
中学生同士の取材で引き出せた本音を紹介します。
「矛盾をなくせと言いたい。『よそはよそ、うちはうち』って言う反面、『隣の〇〇さんは△△しているよ』と言いますよね。自分の都合のいいように進めないでほしい」
「誹謗中傷と意見って何が違うの?」
「テレビは忖度まみれだと思う」
「将来の夢を持てっていうけど、どう決めればいいの?」
「生きる意味ってなんなの?」
大人でも答えに窮するような、鋭いコメントが飛び出しました。さすがは思春期の中学生たち。普段は表に出さないけれど、裏では言いたい意見や疑問を抱えているようです。
最後に
終わったあとは、みんなで感想を出し合いました。
「いろんな価値観や考えがあってよかった」
「思ってることや普段言えないことをお互いに言えた」
「好きなテレビも全然違った。テレビで流行ってるものにのっかるだけじゃなくて、おもしろいと思うものが全然違うんだなと思った」
お互いに本音を交換したことで、クラスメイトに対する理解や発見が深まったようです。
若新:「みんなと同じ、普通じゃなくて良いんだよ、本音を言って良いんだよ」っていう安心感がないと、なかなか本音は言えないのかもしれないですよね。
岩崎:相手が本音を言っているから自分も言いやすいとか、そういう心を許せる場所が必要ですよね。今日の取材で、本音が言いやすい環境を作れていたら嬉しいです。
なお、この模様は2月18日に配信された『ABEMA Prime』の特集で、「中二病も多様な個性!中学2年生がオトナに感じるギモンとは?若新雄純企画」と題して取り上げられ、中学生のリアルな意見・疑問について若新さんを含む番組出演者が議論しました。
▼番組アーカイブはこちら
ABEMAビデオ(無料視聴)
『中二病も多様な個性!中学2年生がオトナに感じるギモンとは?若新雄純企画』
https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p2612
次は3日目、LINEによる「気持ちの伝わるLINEスタンプ作成講座」です。中学生たちが自分なりの感情を伝えるLINEスタンプを作成していきます。